株式会社 アプレ コミュニケーションズ

NEXT Business & NEXT Persons
2021/05/24 更新

[第3回]まずは自分の「現在地」を知る~Cから始めるPDCA~

『結果を出す人のPDCA100の法則-最強の目標達成仕事術-』鹿野和彦 著  日本能率協会マネジメントセンター より

 

─自分はどんな価値を創造できるのか。自分の「現在地」知ろう─

 前回、あらためて仕事の意味、働くことの本質について考えてみました。そして、「仕事」は生活の糧であると同時に価値を生み出す行為であること、そして「傍」を「楽」にすることが「働く」ことの本質であることを示したところです。
 もっとも、仕事の意味、働くことの本質を理解できたとしても、「自分は何によって価値を生み出すのか」「何によって傍を楽にすることができるのか」がわからなければ行動には移せません。言い換えれば、「自分はどんな仕事に取り組めば、世のため、人のために貢献できるのか」といった、夢や目標を明確に持つがすべての出発点だといえます。
 こういうと、「自分には夢がある」「自分にはやりたいことがある」と胸を張る人も少なくないと思います。しかし、その夢をあなたは本当に実現できるでしょうか? やりたいことをやり遂げるだけのスキルを身につけているでしょうか? もっと根本的なことをいえば、そもそも、その夢は、本当に実現したいものですか?
 もし、この質問に窮する人がいたら、あらためて自分自身がどんなことに価値を感じているのか、また、自分はどんな価値を創造できる人間かを掘り下げてみてください。明日に向かって何かを始めようと思ったら、まずは自分の「現在地」をきちんと把握すること。その上で、目標を達成するための計画を立て、実践していくことが大切です。

─PDCAサイクルを回すコツは「C」からスタートすること─

 「PDCA」サイクルと呼ばれるものがあります。これは、品質管理手法の構築にあたったエドワーズ・デミングらによって提唱されたもので、第二次世界対戦後のモノづくりを支えてきた概念です。
 PDCAサイクルの「PDCA」は、「Plan」 (計画)-「Do」(実行)-「Check 」(検証)-「Action」(改善)の頭文字をとったもの。あえて「サイクル」という言葉を続けるのは、PDCAサイクルは一度回したらOKというものではなく、サイクルを回し続けてこそ価値があるものだからです。目標を立て、実行したら、その結果を検証し、改善という形で新たなPDCAサイクル回し続けることこそが進化するためのポイントであり、回すのをやめた途端に停滞、衰退のサイクルへと転化してしまいます。



 PDCAサイクルは、非常にシンプルな概念です。しかし一方で、実際に活用しようとすると、途中で挫折をしてしまったり、一度回したきりで止めてしったりと、なかなか成果に直結しないケースが頻発します。「言いっぱなし」「やりっ放し」という言葉がありますが、こうした現象はまさにPDCAサイクルがうまく回らなかったことを示すものだといえるでしょう。
 PDCAサイクルをきちんと回すためのコツは、計画を立てる前に現状を分析すること。すなわち、PDCAサイクルのPではなく、「C」からスタートすることなのです。
 会社や部署から要請されている目標に対して、今の自分は達成できるだけの知識やスキルを有しているのか。また、それ以前に、その目標を達成するためには、どのような知識やスキルが求められるのか。それを把握することなしに、達成に向けた適切な計画は立案できませんし、計画通りに頑張って実践しても所期の成果は得られません。

─仕事の夢や目標も「C」からスタートする─

 あなたが実現したい夢や目標も同様です。漠然と、夢や目標に向かって行動するのではなく、まずは夢や目標として設定したものを吟味する。その夢や目標がそもそも自分のやりたいことなのか、また社会や他者にとって価値を感じとれるものなのか検討し、その上でその夢や目標を達成するために必要な知識やスキル等を明確にします。そして、明確になった必要知識・スキルを自分はどの程度満たしているのかを検証し、ギャップを埋めるための方策を考える。そうした下準備を行うことで、初めてPDCAサイクルの「P」を立案する作業に移行することができます。
 具体的には、次のような手順で自分の「現在地」を把握し、ギャップを埋めるための方策を検討してみましょう。

〔STEP1〕自分の夢・目標を明確にする
・自分のやりたいこと、実現したいことを、思いつくまま挙げてみる。
〔活用手法〕マインドマップで発想を自由に拡げる ※鹿野の書籍参照
・自分が興味を持ったもの、好きだったものを抽出する。
〔活用手法〕子どもの頃から今までの出来事を記載した自分史を作成。(熱心に取り組んだこと、好きだったことを別枠で記載)
・他者から評価されたことを抽出し、他者に貢献できることを検討する。
〔活用手法〕自分史の中に「他者コーナー」を設け、自分の特性について言われたことや、他者からほめられたこと・感謝されたことを記載。
〔STEP2〕自分の夢・目標を仕事に置き換える
・どんな仕事なら自分の夢・目標が実現できるかを調べる。(就職関連の書籍、ビジネス系の雑誌等を読む。ネットで調べる)
〔STEP3〕仕事をする上で必要な知識・スキル等を把握する
・STEP2で抽出した仕事に必要な知識・スキル・資格等を調べる(就職関連の書籍、ビジネス系の雑誌等を読む。ネットで調べる)
〔STEP4〕必要な知識・スキル等と自分の「現在地」とのギャップを抽出する
〔STEP5〕抽出したギャップを克服・改善できるか否かを判断する
・できる………ギャップを克服するための方策を考える
・できない…自分の夢・目標を達成できる他の仕事を検討する

【備考】
PDCAサイクルを適切に回すためには,さまざまなノウハウ、スキルが必要です。2021年5月に、自著「結果を出す人のPDCA100 の法則」を日本能率協会マネジメントセンターから刊行しますので、関心のある方は、是非お読みください。

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